浅田真央さんを分析 その2


前回は浅田真央さんに関する研究をいくつか紹介しました。

野辺山のテストでの柔軟性の違いと、身体の成長からみて晩熟型であったこと。

これらを踏まえて、日頃のスケーターの治療のお話を今回はしていこうと思います。

葵接骨院には多くの選手が来ていますが、治療院という場所なので多くが怪我や痛みがあって来院するわけです。

残念ながらその中でも来院理由として多いのが男女を問わず「疲労骨折」です。

これはここ数年増えたというより、画像診断が進んだり、うちのようにエコーでチェックが簡単にできたりすることから発見しやすくなったという背景もあるかと思います。

野球の現場などではメディカルチェックとして、肘のエコー検査を実施するチームや地域も増えてきています。これにより、練習内容や練習量をコントロールするという動きがでてきて、傷害予防がすすんできている。

フィギュアスケート界では昨年、ブロック大会での選手の傷害アンケートをとりデータのまとめをしているようです。

選手の既往歴や障害部位に関しては私自身が2010年に専門誌で報告をあげていますし、それ以前にもアメリカのスケ連からも発表がされています。内容は正直あまりかわりありません。おそらく今回の調査も同じ結果だと想像できます。

先行調査をそろそろ生かし、検証していくような研究がやはり必要だと思います。

 

縦断的観点を取り入れる

選手を診るとき「縦断的観点」というのが必要だと私は思っています。

これは選手特性や選手育成には同じ年代を輪切りにしてみるだけではなく、ひとりの選手を長期にわたってみることや、年齢の高い選手と低い選手との比較でみることも大事だということです。

これらがどこにつながるかというと

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最高パフォーマンスが発揮できる年齢になったときに、

その選手が最高のパフォーマンスができること

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ということです。シーズンでこれをおこなっている選手はいると思います。

いわゆる試合でのピーキングです。

そのシーズンを横軸でみている選手は多くいてもそれを身体の発育という人生の縦軸で考えている選手はあまりいません。

この弊害が今のスケート界には選手の怪我や障害としてみられています。

 

浅田真央さんを分析する

前回のブログでもお話したように、彼女は晩熟型という分類の選手でした。

身体の成長のピークが16歳頃で、周りの女子の身長が止まっている年齢で彼女はまだ伸びていたのです。

一方、選手としてみた場合、12歳で全日本に出場、13歳のブロック大会では3Aを跳んでその後は年齢制限でオリンピックにはでられませんでしたが世界で活躍をしています。

12歳までに身長の伸び率のピークが来ている選手が12歳という時期に得ておきたいスケートスキルと

16歳に身長の伸び率のピークが来ている選手が12歳で得ておきたいスケートスキルが同じだと思いますか?

もっといえば、身長が12歳でほぼ止まった12歳の選手と、まだ伸び続けている12歳の選手の練習量が同じでいいのでしょうか?

 

12歳の段階で、ジュニアシニアレベルのことができてしまうというのはある意味とってもスケートに対してのポテンシャルの高い選手だということがわかります。

でも、彼女の身体的な発育のピークは16歳です。

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最高パフォーマンスが発揮できる年齢になったときに、

その選手が最高のパフォーマンスができること

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ここが重要だと私は思っています。

つまり彼女の場合は16歳以降、もう少し骨の成長を考えると18歳以降で最高のパフォーマンスが発揮できるように計画していくのがよかったのかもしれないということです。

その方がけがのリスクも少なかった可能性は捨てきれない。

その選手が早熟型なのか晩熟型なのかという考察は

怪我のリスクを減らすことや、選手の最高のパフォーマンスを引き出すうえでとっても大事ということです。

 

この話も長くなってきたので、また次回に続けますね。

最初に書いている疲労骨折の話までたどりつけるのかしら(笑)