湿布薬の世代分けと味付け?


重要なことは、手を変え品を変えで何度もアナウンス。

5年前の記事を今日はリライト!

 

以前より減りましたが、いまだに

「湿布を貼って様子をみてました」

が多い。

 

まずは、湿布についての知識から。

湿布薬には「世代分け」があります。

今の湿布には飲み薬の痛み止めと同じ成分(非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)が含まれています。

「インドメタシン」とか「フェルビナク配合」と宣伝されているもので、

商品名で言うと、サロンシップとかフェイタスとかパスタイムとかですね。

これらは第2世代の湿布と呼ばれています。

この世代の湿布はNSAIDsの成分が皮膚から吸収され、皮下の組織にしばらく留まることがわかっています。

1日1回しか使用しない湿布は、数時間貼付すると1日中皮下のNSAIDsの濃度が保たれることがわかっているので1日1回の使用となっているのです。つまりこまめにはり変えても効果は変わらないということ。

 

これに対して第1世代の湿布というのはNSAIDsは含まれていません。

鎮痛効果としては劣る、サリチル酸メチルやLーメントール、

飲み薬ならバファリン、貼り薬ならパテックス、サロメチールなどですね。

飲み薬に貼り薬??と思われた方いらっしゃると思います。

そうです。

飲み薬のバファリンから貼り薬を作ることだってできるのです。

もちろんそのままというわけにはいきませんがね。

 

湿布に含まれる鎮痛成分も時代とともに進化したということですね。

 

次にタイトルになっている「味付け」ですが、

湿布にチョコレート味やバニラ味がついている・・・・わけではありません。

冷感湿布と温感湿布の違いのことです。

これが「味付け」みたいなものだということです。

メントールなどの成分がふくまれているとハッカ飴と同じでスーっと冷たい感じがするし、一方でカプサイシンが含まれればぽかぽかした感じがする。

ここで重要なのは

「感じがする」

ということ。

どういうことかというと、

冷感や温感を感じる神経の受容体を刺激することによりこのような感覚を生じさせていますが、

決して冷やしたり温めたりする効果はないということです。

サロンパスを売っている久光の試験でもこれは証明されていて、

シップ剤を貼った場合、冷感湿布だと3度、温感湿布だと2度ほど皮膚表面の温度は低下しますが、これらの温度低下は湿布剤に含まれる水分が蒸発するときの気化熱によるものとされていて、筋肉は全く温度変化はしないのです。

湿布薬には温度を変化させる効果はほぼないということ。

冷やしたいならアイシング、温めたいなら入浴のほうが効果が高いということです。

また湿布剤では冷感温感にかかわりなく、気化熱のための皮膚のみの温度低下ですが、テープ剤(プラスター剤)になってくると被覆効果という皮膚をおおう効果のために0.7度ほど皮膚温度が上昇することがわかっています。

結局は、貼付剤には冷やしたり温めたりする効果はほぼないと考えてよいということです。

湿布を用いるのは痛み止めの成分を吸収させるだけつまり「鎮痛効果」しかありません。

湿布薬で「治る」ことはないということ。

これをしっかり覚えておいてください。

その上で、来院時に貼ってきたら・・・・かるく叱っていいですか?(笑)