スケート靴解体報告


時々、国内外のフィギュアスケートに関連する論文や報告を探してみたりしています。

今回は、中京大学体育研究所紀要から小塚崇彦さんと湯浅先生が書いた

【小塚選手の使用済みフィギュアスケート靴の解体報告書】

を見つけました。

スケート靴に関しては私自身も以前専門誌に寄稿したことがありますが、今回は小塚さんが実際に選手時代に履いていたスケート靴をバラバラにしてみてみたというもの。

まずは、ミズノスポーツ研究所の発刊している書籍の中でも、

“今のスポーツシューズの開発は、最先端のヒューマンサイエンスが駆使されている代表的な現場”

と言われているにも関わらず、どうやらスケート靴は他の競技に比べると新素材の取り組みや開発は後発組になっているようです。

たしかに、家に母が使っていたフィギュアスケート靴があったが、私が小中学生になって遊びで持ち出して使っていたが全く古臭い感じはなかったので、その変化はめざましいという感じではなかったと記憶している。

今回調査でいくつか目を引いたことをあげてみると

・解体されたのは4か月使用したもの

・ヒールリフトに誤差があった

・タップダンス靴の職人さんからみた場合に改善余地はまだある

 

・解体されたのは4か月使用したもの

もう10年以上もスケート選手を診ているのですが、それでも4か月使用しただけで新しい靴に変えていく消耗品だと再認識させられました。

身体を守るものでもあるので、外見がきれいであっても機能性が落ちてしまえば意味がない。

どのスポーツでも同じことだけど、やっぱりこのサイクルはいろいろと大変だなぁって思わずにいられない。

 

・ヒールリフトに誤差があった

これは、私自身も目で見てわかるものにいくつか遭遇しています。

中心もわずかに違っていたりするので、シンデレラの一足は見つけられたら本当にラッキーだなぁって思う反面、同じ品質を毎回作れないかなぁとも思ってしまう。

 

・タップダンス靴の職人さんからみた場合に改善余地はまだある

これはとっても興味深かった。

実現可能かと実用的かはまたわからないが、フックを変えることで軽量化ははかれることや、インソールやブレードの硬さから、ヒールリフトは、素材を変えることによって毎回同じパーツを作成可能になるなどの提案もあった。

 

私自身がスケート靴の問題に着目しているのは、一つは、海外の報告であがってくるスケーターの足の怪我と日本人スケーターの足の怪我には相違があるからです。

これは踵の骨の形状によるものだと思うのですが、言ってみればそれに合わせて海外のスケート靴の靴型はできているのです。でも、逆にこれが日本人にとってはある種の不都合をうむことも臨床経験上わかっています。

これに関してはまた別の機会にまとめたいと思います。

 

まずは、とってもめずらしいスケート靴の解体報告書、原文を読んでみたい方は下記リンク先にてPDFがダウンロードできますので、チェックしてみたください。

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