先日、Facebookにこんなポスターが流れてきました。
ところ変われば・・・・ではないですが、競技がかわれば・・・・という感じです。
この陸連の【過剰な鉄分】というのは、よーく陸上界の歴史をみていけば、【鉄剤の静脈注射】であることがわかります。
フィギュアスケート選手でもバレエの方でも指導者に“注射打ってこい”と言われたということを聞いたことがありません。
ただ、競技がかわるとこれが“あるある”話になるのです。
陸上界もそう。
栄養学のベースがない状態で鉄剤の静脈注射を選手に指示し、選手もほぼ毎週打っていたということもあったそうです。
その結果の先にあるのがこのポスター。
通常は、静脈注射で鉄剤を打っている人は見る人がみれば顔色が独特な色をしてくるので判断がつきます。
また、血液検査上でもフェリチンが異常に高いので使用の予測がつきます。
一般の方、またはうちに通院中の選手を診る限りこの陸連の鳴らす警鐘の【過剰な鉄分】というのはないと思います。
いや、間違いなくないです。
フィギュアスケーターやバレエの方の食事調査をすると圧倒的に食べる量がそもそも少なく食べる量からの指導がはじまります。
この時点で鉄は足りていません。
例として、女子選手が必要な鉄量が12mgだとします。
日本にはいろいろな学会があるのですが、【鉄バイオサイエンス学会】というのがあります。なかなか興味深い。
その学会のガイドラインでは鉄6mgをとるのに1000キロカロリーに相当するという基準があります。
カロリー摂取量との相関です。
仮に、12mgの鉄を食事から、しかも牛肉で摂取しようとすると500gの赤身が必要になります。
でも毎日赤身の牛肉500g食べている選手なんていません。
食べていたらそれはそれでうらやましい。
一日の必要な鉄を食事からとろうとしたら、食べる量も必要です。
それを満たしているフィギュアスケーターやバレリーナはいないのです。
陸連のガイドラインには「しっかりとした食事から摂取する」とありますが、実際は無理ですね。
バランスよく食べたのでは取れる量ではありませんから。
バランスよく食べた結果【質的な栄養失調】がおこります。
これは食事に気を付けている選手でも同じですから、一般の方はもっととってないはず。
そして、多くの選手はまだまだ食事に対するリテラシーが低いので、鉄剤のみをとるということもなければ
血液検査をして鉄をチェックすることもありません。
また、この分野を日々臨床でやられている藤川先生の発信をみていても、
経口の鉄剤で、フェリチン(鉄)を急激にあげることは不可能ですし、鉄剤による過剰摂取はあり得ないと発信されています。
唯一問題になっていのが“静脈注射”だと。
鉄にすがって競技をやっていた歴史が見え隠れしますが、食事は代謝の原則を学ぶことが大事。
そうすれば、鉄剤のみに走ることはなくなります。
このあたりを、食事指導をしていて感じることが多くなり、よりデータ化してまとめてみようと思いました。
今、それにとりかかっているところ。
もう少しまとめられたらブログでも書いていこうと思っています。
今日は、競技が違うとこんなにもとらえ方が違うというのをわかってもらえれば十分かな。
あとは、【私って鉄足りているのかな?】とどこかに疑問をもっていただければなおさらいい。
ヒントとするなら
冷え性、しもやけができるなどは間違いないく鉄分たりていませんよ。
まずは、食事量が必要になってきます。
あおいラボにて食事の相談と指導もしています。
陸連の栄養セミナーの様子をみつけたのでよければ読んでみてくださいね。